LSEを巡る動きは取引所ビジネスの変容を象徴する 。

ドイツ取引所とLSEが統合交渉するのは2000年以降で3回目 だが、この間、取引所経営を巡る環境は激変した。
欧州では米電子取引所BATSグローバル・マーケッツが株式取引で存在感を高め、売買代金のシェアで首位にある。
投資家の注文手法も多様化している。
世界最大の政府系ファンドノルウェー銀行インベストメント・マネジメントは昨年12月中旬、米証券取引委員会に書簡を出し、その中で高頻度取引を制限する米IEXの取引所認可の申請を支持した。
世界の主要な投資家の間でも伝統的な取引所離れが広がる。
その一方で取引所の機能として注目されているのがクリアリングハウスの役割だ。
08年の金融危機以降、デリバティブ取引の相手が倒産して金融システムにリスクが広がるのを遮断するため、取引所などの中央清算機関に清算業務を 集約するよう規制が変わりつつある。
ポストトレードに強みを持つ取引所には恩恵が大きい。
国際決済銀行によれば、15年6月末時点の店頭デリバティブの市場規模は550兆ドルある。
うち8割が金利関連で、特に金利スワップの残高が大部分を占める。
LCH傘下のスワップクリアは金利スワップの清算で独占的な存在感を示しており、LSEの魅力を高めている。
LSEとドイツ取引所が統合すれば、世界の取引所はデリバティブ業務を主力とする4強へ集約が進む。
シカゴ・マーカンタイル取引所グループ、ICE、香港取引所、LSE+ドイツ取引所の4つで、日本取引所グループを含む5番手以下とは総合力で大きな格差が生まれる。
LSEを巡る動きは取引所ビジネスの変容を象徴する 。